中国地方の最高峰・伯耆大山(だいせん)の東南に連なるリゾート地「蒜山(ひるぜん)高原」。
別荘の価格帯が比較的安価で、関西圏からもアクセスしやすいこの地域は、夏場の避暑地として、またウィンタースポーツの拠点として、幅広い人気を集めています。
恵まれた環境にある蒜山高原の別荘地を実際に訪れた体験をもとに、価格相場・アクセス・生活の実情などについてレビューします。
蒜山高原別荘の魅力と自然環境
蒜山高原は岡山県のなかでも最北端にあり、標高約500~600メートルの高原地帯となっています。
蒜山三座(上蒜山、中蒜山、下蒜山)とよばれる山々に囲まれ、眺望をさえぎるもののない高原地帯ですので、美しい山並みがいつでも楽しめるのは、この別荘地ならではの魅力といえるでしょう。
ブランドもののジャージー牛の放牧がさかんですので、文字通りの牧歌的雰囲気がありますし、標高が高いので夏は涼しく、避暑地としても非常に人気があります。
いっぽうで冬場はかなりの積雪(50センチから1.5メートルくらい)がありますので、自然のうつろいを感じるという意味では風情がありますが、もしも定住するとなるとそれなりの覚悟が必要です。短期的な滞在であれば、むしろスキーやスノーボードなどのウィンタースポーツを満喫できる、またとない環境となっています。
高速道路で良好なアクセス、ただし公共交通は不便かも
別荘地としての蒜山高原は、具体的な地名でいえば真庭市蒜山西茅部、蒜山東茅部、蒜山上福田、蒜山中福田、蒜山富掛田、蒜山富山根あたりを中心とした地域です。
岡山県真庭市から鳥取県米子市へと至る高速道路、米子自動車道の蒜山インターチェンジからすぐ(車で5分から10分圏内)の場所に別荘地が点在していて、高速道路を利用する限り、マイカーでのアクセスはよいといえます。
大阪・神戸方面からは車で2~3時間程度、広島・岡山方面からも1.5~3時間ほどで行けるため、日帰りで週末の休みだけを過ごすといったぜいたくな使い方もできます。
一方で、公共交通機関でのアクセスは不便で、JR姫新線の中国勝山駅から真庭市コミュニティバスの蒜山・久世ルートに乗車し、1時間半ほどをかけて別荘最寄りのバス停で下車することになります。
距離的にいえばJR伯備線の江尾駅のほうが近いはずですが、蒜山までのバスの便がありません。
ただし、例外的に大阪~島根県・出雲間を結ぶ高速バス「WILLER EXPRESS」が蒜山に停車し、大阪から3時間で結ばれています。
蒜山周辺には観光資源が豊富
蒜山高原やその周辺には観光資源が豊富で、別荘滞在中にさまざまな観光・レジャーが楽しめます。たとえば、次のようなスポットがおすすめとして挙げられます。

道の駅風の家 国道482号の道の駅で、大型車でも駐車できます。通り沿いにある巨大な風車がトレードマークで、蒜山の特産品やお土産がそろう場所。御当地グルメとしては、酪農がさかんな蒜山ならではのソフトクリーム、B-1グランプリで話題となったひるぜん焼きそばがあります。
ひるぜんジャージーランド 地元の蒜山酪農農業協同組合の直営によるレジャー施設です。チーズフォンデュやハンバーグ、ステーキなどが楽しめるレストランがあり、手頃な価格のランチが人気です。
蒜山ハーブガーデン ハービル 蒜山三座を望む場所に植物を通じた交流の拠点として整備された施設です。ハーブガーデン、ラベンダー畑、ブルーベリー畑、紫陽花園などの広い庭園があります。また、園内の「香りの館」には、香りのグッズを扱うショップや、ハーブと山菜のレストランも用意されています。
休暇村蒜山高原 蒜山高原の宿泊施設ですが、宿泊以外にも、肌をしっとりとさせると評判の天然ラドン温泉があり、別荘滞在中の湯治に最適です。レンタサイクルやグラウンドゴルフ、テニスなどのサービスもあります。
蒜山高原別荘地の価格相場と管理費
最近における蒜山高原の中古別荘の価格は、土地・建物あわせてだいたい300万円から450万円程度がトレンドとなっています。
国土交通省のデータを見ると、過去には80万円からの格安物件もあったようですが、そこまでいかなくとも、本州の中では別荘物件の不動産価格がかなり割安なエリアです。
参考:国土交通省「不動産情報ライブラリ」(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)
別荘地によって、また区画によって管理会社の対応状況や道路の維持状態にばらつきがありますので、事前に不動産会社に問い合わせて確認をするのが望ましいですが、一般的にいって、年間管理費も1万円台〜数万円台と、やはり安価な部類といえるでしょう。
蒜山高原の別荘地の実際のようす(現地写真)

別荘地への進入道路は、4メートル幅以上の舗装された公道に直接面しているところもあれば、昔ながらの車1台幅程度の未舗装道となっているところもあります。こうした接道の状況は、冬場も安心して滞在できるかどうか(冬場の除雪があるかどうか)にも関連してきます。

蒜山高原というと山がちなイメージですが、別荘地そのものは傾斜地よりもむしろ平坦が場所のほうが多い印象で、建物を建てるのにもあまり苦労はないとみられます。進入路は別として、少なくとも別荘地内の道路はたいがい舗装されています。

蒜山高原の別荘地からは「蒜山三座」の風景を望むことができ、建物も景観に調和したログハウスタイプのものが多くみられます。自然に囲まれたゆとりある暮らしが期待できそうです。積雪がある地域なので、陸屋根ではなく勾配が急な切妻屋根が主流です。
定住は可能?気になる蒜山高原の積雪と生活インフラ

蒜山高原の別荘は眺望がすばらしく、夏場は冷房なしでも過ごせるなど、非日常を楽しむ別荘としては最適な環境といえます。
しかし、冬場は雪が積もるため、もしも将来的に現在住んでいる場所から蒜山高原に移住することまでを想定しているのであれば、前面道路の除雪があるかどうか、断熱性能の高い建物であるかどうかはチェックしていくことが重要です。
ちなみに、例年であれば積雪の時期は12月から翌年3月の初旬くらいまで、積雪量は70センチから1メートルほどといったところです。主要な公道は除雪されますが、3月下旬でも残雪がありますので、やはり冬季シーズン中のスノータイヤは必須です。
また、蒜山高原には観光施設は多いものの、食料や雑貨、その他の生活必需品が購入できる店舗が少ないのも気になるところです。いちおうは次のような店舗がありますが、いずれも小規模ですので、大規模な店舗で買い回りがしたい場合は、30キロメートルほど離れた米子市や倉吉市にマイカーで出向かなければなりません。
場合によっては、ネット通販で生活必需品を購入し、宅配便で届けてもらうことも考えられますので、その際に困らないように、大型車が通行可能な進入路をもつ別荘地かどうかも、別荘購入を検討する上でのキーポイントになるでしょう。
| 名称 | 所在地 | 種類 |
|---|---|---|
| みかもストア | 真庭市蒜山上長田448-5 | スーパーマーケット |
| コメリハード&グリーン蒜山店 | 真庭市蒜山上長田312 | ホームセンター |
| スーパーヒルセン | 真庭市蒜山中福田295-9 | スーパーマーケット |
| いけだファミリーストアー | 真庭市蒜山上福田833-8 | スーパーマーケット |
| セブン-イレブン 蒜山上福田店 | 真庭市蒜山上福田494-5 | コンビニエンスストア |
| とれたて野菜市(道の駅 風の家) | 真庭市蒜山上徳山1380-6 | 農産物直売所 |
(まとめ)安さと景観に優れる蒜山高原の別荘、定住性はやや難あり
以上のように蒜山高原の別荘について見てきましたが、総合評価としては次のようなところといえます。
関西方面に住んでいる人であれば、夏の避暑地として、自然に囲まれたレジャーの拠点として、蒜山高原の別荘はまさにうってつけの存在といえます。価格帯をみてもかなりリーズナブルですので、不動産情報誌や不動産情報専門サイトにこの地域の物件が掲載されたら、購入を検討する候補に入れてもよいのではないでしょうか。
ただし、将来の定住までを考えた場合には、冬場の積雪という気候の過酷さと、近場に生活必需品を扱う店舗が少ないところがネックとなります。もちろん通年での生活ができないわけではないのですが、都会のような快適さは期待できないことはあらかじめ織り込んだ上での決断となるでしょう。
| 項目 | 評価 | 解説 |
|---|---|---|
| 自然環境 | ★★★★★ | 蒜山三座の眺望、夏場の快適な気候、おいしい酪農製品 |
| 交通アクセス | ★★★☆☆ | 高速道路でのアクセスは良好、ただし鉄道・路線バスは難あり |
| 不動産価格 | ★★★★☆ | 土地・建物・管理費含めてリーズナブルなほう |
| 定住可能性 | ★★☆☆☆ | 冬場は積雪多く、店舗も少ない |

