茨城県鉾田市(旧大洋村)は、太平洋に面し、内陸に向かって平坦な農地が広がるエリアです。サツマイモやメロンなどの畑作物の栽培が盛んですが、その一方で農地に適しない山林内の傾斜地にはミニ別荘が乱立し、手頃な価格帯から人気を集めています。
鉾田市の自然環境とは
茨城県鉾田市(旧大洋村)は、東は太平洋(鹿島灘)に面し、内陸に向かって平坦な農地が広がり、西は北浦の湖水を望む、水辺と農村の風景が魅力的なエリアです。
サツマイモやメロン、イチゴ、ほうれん草などの野菜・果物栽培が盛んであり、農業産出額が全国一となったこともあります。
その一方で、農地に適しない山林内の傾斜地も多かったことから、土地の有効利用を図りたい地主の思惑と折からのリゾートブームが一致して、1980年代に手頃な価格帯のミニ別荘が乱立しました。
鉾田市は気候的には温暖なほうで、冬場ても晴れの日が多く、雪が降ることはめったにありません。そのかわりに放射冷却で朝方の冷え込みが厳しいことはデメリットのひとつに数えられ、過去には気温がマイナス8度を下回ったこともあるなど、別荘の凍結対策は不可欠です。
また、地震も頻繁にありますが、東日本大震災のような例外を除くと、おおむね震度4以下におさまっています。
鉾田市の交通アクセス

鉾田市の交通アクセスですが、公共交通機関であれば鹿島臨海鉄道大洗鹿島線の「涸沼駅」「鹿島旭駅」「新鉾田駅」「北浦湖畔駅」「大洋駅」のいずれかが使えます。JRとの乗り継ぎは大洗鹿島線で「水戸駅」「鹿島神宮駅」のどちらかまで移動することになります。
路線バスは鹿島臨海鉄道「新鉾田駅」または旧鹿島鉄道「鉾田駅」(鹿島鉄道廃線後もバスターミナルだけ存続)から関鉄グリーンバスの各路線が出ていますが、これらの路線バスは水戸市や石岡市に向かう便であり、市内の別荘地帯には止まりません。
ほかに「新鉾田駅」などから成田空港や東京行きの高速バスに乗ることができます。
以上のとおり、市内に鉄道やバスはありますが、駅近の物件などごく一部を除き、多くの別荘地ではその利便性を享受できないおそれがあります。
一方、マイカーでの移動については、東関東自動車道「鉾田インターチェンジ」が開業しているため、茨城町を経由して水戸市や宇都宮市・高崎市などへスムーズに移動できます。
さらに、常磐自動車道経由で東京や仙台方面への移動もできますが、令和8年度には東関東自動車道の「鉾田インターチェンジ」以南の部分が開通しますので、東京から千葉市を経て鉾田市へ、あるいは鉾田市から成田空港へ、といったルートの移動も容易になることが期待されています。
こうした点からすると、公共交通機関と比較して、自動車がある場合のアクセス性はよいといえるでしょう。
鉾田市(旧大洋村)別荘地の実際(現地写真)

鉾田のミニ別荘は山林内にあることが多く、アクセス道路も昔の1間(幅1.8メートル)道路や9尺(2.7メートル幅)道路で、雨の日にぬかるむ未舗装道であったりする。大型車の通行が困難なことも。

別荘地内の私道は舗装されていることもあるが、空き地が多く除草などの管理が行き届かないことも。水利は小規模な別荘地全体をカバーする共同井戸(管理会社がある)か、又は写真のような個別井戸に頼っている。公共上水道に接続するものは少ない。

傾斜地に建つ別荘は、鋼管杭を打ち込んだり、コンクリートの高基礎で建物を支えるが、低価格物件では木製の廃電柱を輪切りにして支柱にしている場合もある。

鉾田の低価格別荘物件では、しばしば風呂場とトイレが一体(アコーディオンカーテンで間仕切り)となっており、内壁はベニア板を張っただけという場合が多い。

鉾田の低価格別荘物件では、内壁も石膏ボードを張っただけでクロス仕上げなどはしていない場合が多い。結露で青カビ・黒カビが発生したり、劣化してボロボロと崩れて外まで貫通するような穴が開いたりすることがある。定住の場合は後から内壁をクロス仕上げにしたり、外壁をサイディングで覆うなどのリフォームをすることも少なくない。
鉾田の別荘地の販売価格や管理費
鉾田市の中古別荘の価格帯ですが、小屋レベルの簡素な構造の格安物件であれば100万円台やそれ以下で取引されるケースも少なくはなく、標準的な別荘であれば200万円台から300万円台、もちろん築浅物件であれば500万円台やそれ以上のこともあります。
いずれにしても、国内の他の別荘地と比較しても、これほど安価な中古別荘物件が出回っている地域はないといえるでしょう。
管理費についてですが、スタッフの定期巡回や除草作業などの手厚いサービスがある別荘地では年7万円程度という場合もありますが、ごく一般的な共同井戸の管理のみの場合は年2万円程度です。もちろん管理会社がまったくないため自主管理という場合もあり得ます。
鉾田市の中古別荘のメリット・デメリットと評価
鉾田市は首都圏にあって高速道路でのアクセスに恵まれており、海や湖、農村の風景が広がるのどかな場所です。気候的にもおだやかで定住が可能であり、さらに中古別荘が格安で購入できるところにも大きなメリットがあります。
その一方で空き地や空き別荘の管理が適正ではないこと、傾斜地の多さやアクセス道路の狭隘さといった不便があること、建物の品質が低くリフォームを検討せざるを得ない可能性があることなどは、デメリットとして挙げられるところです。
| 項目 | 評価 | 解説 |
|---|---|---|
| 自然環境 | ★★★☆☆ | 海や湖の景色と平坦な農地 |
| 交通アクセス | ★★★★☆ | 高速道路や鉄道・バスの便があるが、駅から別荘地までのアクセスに難 |
| 不動産価格 | ★★★★★ | 中古別荘の価格はかなり安価。ただし価格相応の品質かも |
| 定住可能性 | ★★★★★ | 温暖で積雪がなく定住可。ただし冬の冷え込みは注意 |
