ネズミが家屋の内部に侵入すると、さまざまな被害を引き起こします。特にクマネズミは高所を好み、天井裏や壁の中に住みつきやすいため、被害に気づきにくいことがありますが、放置してしまうと被害が拡大して重大な事態を招いてしまうことも少なくありません。
ネズミによる建物や家財の破損
ネズミは一生にわたって伸び続ける前歯を削るため、あらゆるものをかじります。
特に建材の破損は家そのものの寿命を縮めることにもなりますので、深刻な問題として考えなければなりません。
壁の内部や天井裏に敷き詰められた断熱材は、ネズミにとっては巣作りに利用するかっこうの材料となります。このため頑丈な歯で食い破られてボロボロになり、外界からの熱をさえぎるという本来の役目を果たすことができなくなります。
柱などの木材や石膏ボードも同様で、かじって穴を開けてしまうことがあります。こうして大きくなった隙間から、他のネズミも侵入しやすくなります。
もしもネズミの行動範囲が天井裏や壁の間にとどまらず、室内にまで達してしまっている場合には、押入れやタンスに収納していた衣類や布団などもネズミにかじられて、使い物にならなくなってしまう被害が懸念されます。
電気配線の破損と火災の危険
ネズミが電気コードをかじるとショートしてしまい、火災の原因となることがあります。実際に、ネズミが原因で起こる火災事故の報告も少なからずみられます。特に天井裏や壁の間などには無数のコードが配線されていますので、かじられるとやっかいです。修復をするにも作業スペースが限定されており、技術的な観点からも電気工事士のような有資格者に依頼をしなければなりません。
最近では個人の自宅であっても天井裏にLANケーブルを配線するケースが増えてきました。この場合、ネズミにケーブルをかじられて、インターネットをにつながらないなどの障害が発生する可能性があります。
衛生面での被害
ネズミの種類によって食性は異なりますが、家屋に多く出没するクマネズミの場合、穀物や果実などを好み、雑食性であるといいます。そのため、食卓に出没すれば料理を食べ散らかすおそれがありますし、保管していても薄いビニール袋などはかんたんに破ってしまいます。
また、人間の食べ物だけではなく、犬・猫・鳥などのペット用のエサも同時に狙われますし、ペット用の水を飲むこともあり得ます。
ネズミはところかまわず移動するため、食中毒の原因であるサルモネラ菌などを媒介し、食品を汚染してしまうことがあるため、衛生面からはネズミが手を付けた食品はもはや食べられないものと思ったほうがよいでしょう。
ほかにも、ネズミの体毛にはダニやノミがつきやすいため、人間の皮膚炎やアレルギーの原因になることもあります。
騒音による安眠妨害
ネズミはふだんはおとなしいものの、深夜になると活発に活動をはじめます。天井裏や壁の中をネズミが走り回る音で眠れなくなることも少なくはないはずです。ネズミが繁殖して個体数が増えれば争いが発生し、より大きな騒音が生まれます。
まとめ
ネズミによる被害はいろいろですが、主なものとして、建物や家財の損傷、電気ケーブルをかじることによる火災やインターネットを接続不良、病気の媒介などの衛生面での影響、騒音による安眠妨害などが挙げられます。
これらの被害を防止するためには、壁の隙間や配管まわりなどの侵入経路をふさぐこと、密閉容器を使用して餌になるものを与えないなど食品の管理を徹底すること、営巣させないよう清掃や点検を強化すること、さらには効果的なわなの設置などで原因となっているネズミの捕獲・駆除を計画的に行うことが必要となってきます。
ネズミ被害は放置すると深刻化するため、早めの対策が重要です。