「何かの動物がひっきりなしに移動しているようだ……」
「夜中に天井から物を引きずるような音がする……」
そんなとき、疑うべきは「巣作り中のネズミ」かもしれません。
今回は、実際にわたしが経験した「天井裏で巣作りをするネズミ」の様子と、そのやっかいさについて詳しく紹介します。
理想の巣を求めて1時間も往復
捕まえたネズミを観察していて驚いたのが、「巣作りへの執着」の強さです。
木くずや断熱材など、巣材になりそうなものを1つずつ運び込み、30分、1時間と延々と巣を構築する姿には、もはや職人のような執念すら感じます。
もちろん巣材は天井裏にあるものでまかなうため、たとえば次のようなものがターゲットとなります。
● 電気ケーブルをたばねる絶縁テープの切れ端
● 断熱材(グラスウールなど)の切れ端
断熱材をちぎり、柱をかじる被害も
上に掲げた巣材のうち、もともとサイズが大きなものは、ネズミ自慢の歯で細かく噛みちぎってから巣に持ち運びをしています。
ネズミは人間とは異なり、前歯が一生伸び続ける生き物であるため、常に何かをかじって歯の長さを調節しています。巣材を適当な大きさに噛みちぎる作業は、そうした意味でもネズミにとってうってつけなのです。
逆に、家に住んでいる人間の立場からいえば、ネズミが巣材を集める過程で以下のような被害をこうむることになります。「カリカリ」という小さな音の裏で、大きな破壊が進行しているかもしれません。
● 柱や梁がかじられて建材が傷む
● 電気配線がかじられて火災のリスクが上昇
● 巣材をくわえて天井裏を何度も往復する際に「ドタドタ」という騒音
● 柱や梁をかじる際に「カリカリ」という騒音
巣作り中はわなに入らない?捕獲が難航する理由
巣作りに夢中のネズミは、エサとなる食べ物への関心が一時的に薄れるようです。
実際、巣作りに没頭している間は、わなの内部にぶら下がっているおいしいエサには手を出さず、したがってわなになかなか引っかからないという傾向がみられます。
天井裏で「カリカリ」「ドタドタ」という音が騒がしく聞こえるのに、いっこうにネズミを捕獲できず、もどかしい思いをします。
そして1匹のネズミが何十匹にも
さらに恐ろしいのが、巣が完成すると、そこでネズミの大繁殖が始まるということです。
クマネズミなどは、年に数回出産し、1回の出産で5〜10匹の子を産むこともあるといわれます。
最初は1匹だったものが、気付いたころには数十匹の大家族になって拡散し、家中がネズミの被害に遭うようになります。
巣作りネズミ対策のポイント
巣作りをするネズミはきわめてやっかいな存在です。1匹だけと油断せず、早めに次のような対策をすることが重要です。
対策 | 内容 |
---|---|
巣材の除去 | 天井裏にある断熱材や不用品をチェックし、巣材を減らす |
侵入経路の遮断 | すき間・穴・通気口を金網やパテで封鎖 |
わなの設置場所を工夫 | 巣の出入り口近く、通り道に設置して捕獲率を上げる |
音・振動による威嚇 | 巣作り中の静寂を破ることで、ネズミが嫌がる環境をつくる |