ネズミを天井裏から追い出したい場合には、市販の忌避剤を利用する方法があります。しかし、これらの忌避剤があまり効果を発揮しないこともあります。
ネズミを追い払うための忌避剤とは
「忌避剤」(きひざい)というのは、ネズミが嫌うニオイなどの化学成分を利用して、特定の場所にネズミが来ないようにするための製品のことです。市販されている主な忌避剤には以下のようなものがあります。
● スプレータイプの忌避剤
ハッカやワサビなどの刺激の強い成分を直接散布して、ネズミを近寄らせないようにする。
● 顆粒・固形タイプの忌避剤
オレンジの皮や松脂から採れるテルペンなどを練り込んだ物質をネズミの通り道に置いておく。
● くん煙タイプの忌避剤
屋根裏や床下で煙を焚き、ネズミが嫌がる成分を広範囲に充満させていぶり出す。
● 電子式超音波忌避器
ネズミにしか聞こえない周波数の音を出して不快にさせ撃退を図る。
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植物精油でネズミを撃退する忌避剤の例 | 雨に強い固形タイプの忌避剤の例 |
忌避剤を実際に使ってみたものの……
わたしも自宅にネズミが出没して以来、「顆粒・固形タイプの忌避剤」と「くん煙タイプの忌避剤」を買い求めて試してみました。これらの忌避剤はホームセンターや100円ショップ(ダイソーなど)でもかんたんに手にいれることができます。
たとえば写真にある「ネズレス置くだけ」は、8包で450円程度で販売されています。植物精油を含んだ顆粒が袋詰めにしてあり、袋のままネズミの侵入口や通り道に置いておくものです。
「ネズミ退治に 忌避剤」は、8つに分割できる固形剤が1袋に1つ入っており、税抜き価格で100円です。同様に植物精油成分でネズミを追い払うものですが、固形のため屋外に置いておいても雨に負けないといった特色があります。
ほかに有名どころでは、アース製薬「ネズミのみはり番」がネコのニオイ成分や天然ハーブ成分を配合したゲル剤で、頒価は1,000円程度となっています。
「くん煙タイプの忌避剤」にはアース製薬「ネズミ一発退場」やレック「バルサン ネズミよけ」などがあり、ともにハッカ油などの天然成分を拡散してネズミを追い出すものです。8畳間用が1,000円程度で販売されています。
実際に使った結果として、「顆粒・固形タイプの忌避剤」はどちらも設置した翌日にはもうネズミが襲来していました。ネズミの通り道を狙っておいたはずが、微妙に避けてエサ場にやってきているようです。「くん煙タイプの忌避剤」は一定の効果はあったようですが、効果の持続はせいぜい2週間程度で、やはり永久にネズミを退散させるまでには至っていません。
忌避剤の効果が薄い理由とは?
このように忌避剤の効果には課題があり、根本的な解決にはつながらないようです。その理由としては次のようなことが考えられます。
ネズミの順応性が高くすぐ慣れる
ネズミは学習能力が高いといわれており、忌避剤の設置当初は嫌がっていたとしても、時間が経てばそのニオイに慣れてしまうのではないかと考えられます。多少の不快感があったとしても、彼らには貴重なエサ場や巣がある場所を放棄する気まではさらさらないようです。
ニオイが持続しない
もともと精油のような揮発性のある成分を忌避剤に利用している場合や、スプレーによって成分を拡散させたりする場合、その効果は時間とともに薄れていくことが見込まれます。また、一般的な家屋の屋根には換気口が設けられているため、成分が広く拡散することが期待されるくん煙タイプの場合であっても、施工当初からニオイ成分が逃げてしまい、効果が十分に発揮されていない可能性があります。
侵入経路を塞いでいない
忌避剤はあくまでもニオイなどの不快成分でネズミを追い出そうとするものです。外部からのネズミの侵入口を封鎖するといった根本的な解決ではないため、忌避剤で一時的に撃退したとしても、別の経路から戻ってきてしまいます。
忌避剤を使う際のポイントとは
忌避剤は一時的にネズミを追い払うのには有効なこともありますが、やはり根本的な解決にはなりません。学習能力が高く、環境への適応能力もあるネズミに対抗するためには、複数の対策を組み合わせることが重要です。
たとえば、同じ忌避剤を使うとしても、巣の周り・エサ場・通路といった複数の場所に集中して設置すること、侵入経路を特定して侵入口の封鎖とセットで使用すること、くん煙タイプでネズミを追い出した上、固形タイプを通路に設置して再来を予防するなど、複数の種類を組み合わせて使用すること、などの工夫が求められます。