あこがれの別荘が格安販売されているのを見つけると、つい即決で購入したくなるかもしれません。しかし、特に古い別荘地においては、物件の価格以上に重要なのが「管理体制」の状況です。
一歩間違えると、購入後に思わぬ高額な管理費を請求されたり、生活に不可欠なインフラが使えなくなったりするトラブルに巻き込まれる恐れがあります。
格安別荘に潜む特殊事情とは
不動産売買情報サイトを見ていると、清潔で築年数も若いにもかかわらず、なぜか周辺別荘地にある中古別荘物件よりも大幅に安価な値付けがなされている物件が登録されていることがあります。
これにはいわゆる事故物件や、外観ではわからない雨漏りなどの深刻な瑕疵がある場合もみられますが、通常はサイト上の物件情報に特記されているものです。サイト上に何ら記載がなく、一見するとどのような事情があるのかわからない場合は、おそらく「管理費が高すぎる」物件と考えたほうがよいでしょう。
管理費は別荘購入後のランニングコストとなりますので、たとえ物件そのものの価格が安かったとしても、トータルでみればまったく安上がりにはならない場合もあるのです。
管理会社の交代とサービス低下に注意
別荘地の管理状況は、場所によって驚くほど差があります。特に注意が必要なのは、開発当時の管理会社が倒産または撤退し、別の会社が管理を引き継いでいるケースです。
これまで別荘地内の私道の補修、街灯の交換、共用部の除草など、本来行われるべき日常管理がきっちりと行われいたものの、管理会社の交代を機に放置され、サービス水準が低下することがあります。
また、このように管理実態が伴わないにもかかわらず、新たな管理会社から従来よりも高額な管理費での再契約を迫られることがあります。
私道や私設水道が使えなくなるリスクも
このように不誠実な別荘地の管理が行われている場合、「納得いかない契約は拒否すればいい」と考えるのが普通ですが、別荘地という特有の権利構造がそれを難しくさせます。
古い別荘地の多くは、デベロッパーが山野を切り開いて造成したものが多く、別荘地内の道路はいわゆる私道であり、水道も自治体ではなく管理会社が運営する私設水道(専用水道)だったりします。
もちろん、開発行為が終わったあとで別荘地内の道路を地元の市町村に移管し、公道として管理してもらう手がなかったわけではありません。しかし、その場合には幅員など道路の構造を市町村が定める基準に適合させる必要があるため、デベロッパーはコスト抑制のため私道のままにしておくのです。
さて、道路敷の所有者が別荘地の管理会社である場合、管理契約の締結を拒否すると、「道路を通らせない」「工事のための掘削を認めない」といった圧力を受ける可能性があります。
私設水道なども同様であり、共用設備である水道の供給を止められてしまうと、もはや別荘で平穏な生活を送ることができなくなります。シャワーを浴びたり、食材を料理したり、トイレを流したりするのには水が必要です。それができないということは、不動産としての資産価値も事実上ゼロになることを意味しています。
管理会社の不当性を裁判で訴えることは可能ですが、多大な時間と費用がかかる上、解決までの間も適正な利用料の支払いは免れないとみられます。すでに全国のいくつかの別荘地で同様の訴訟が提起されていますので、別荘購入の予定がある人は、こうした私道や私設水道が使えなくなる法的リスクについても十分に確認しておくのがよいでしょう。
別荘購入を失敗しないためのチェックポイントとは
このような別荘の管理やインフラに関するトラブルを未然に防ぐための具体的なチェックポイントがいくつかあります。
重要事項説明書の管理項目を確認する
不動産会社を通じて別荘を購入する場合、契約前にかならず重要事項説明を受けます。その際には以下の点を必ず確認してください。
インフラの所有権: 道路や水道配管の所有者は誰か。
過去の管理費推移: 近年、不自然な値上げや管理会社の変更がなかったか。
現地の「放置サイン」を見逃さない
内覧の際は建物だけでなく、周辺の共用部の状況についてもよく観察してください。
以下の項目は、管理会社が機能しているかどうかを示す「通信簿」といえます。
もちろん、別荘オーナーによる自治会管理、あるいはオーナーごとの自主管理の場合であったとしても、同様に考えることができます。
街灯が切れたまま放置されていないか?
空き地の雑草が伸び放題になっていないか?
空き区画や共用部に廃棄物が不法投棄されていないか?
まとめ ~下調べこそが最大の節約になる
古い時代に造成された別荘地には、現代の分譲地にはない複雑な権利関係が潜んでいることが少なくありません。「格安」には必ず理由があります。
建物の状態だけでなく、その場所で安心して住むことができる仕組みが機能しているかどうかを徹底的に調査することが、真の意味での賢い別荘購入への第一歩といえます。

